だいぶのんびり作業をしていますが、染織が終わった原毛を紡ぎ始めました。
これまでの工程はこちら
糸紡ぎとは
糸の作り方ってご存じですか?糸になる原料によって糸の作り方も実は沢山あります。
でも一番有名なのが糸車を使って「糸を紡ぐ(つむぐ)」という作り方だと思います。
工場で機械を使って紡ぐのは紡績(ぼうせき)と呼ばれます。
原理はとても簡単で、原料の綿からひとつまみ繊維を引き出し、回転させて撚りをかけながら細く伸ばしていくだけです。
回転のスピードと糸の引き出し方のバランスが最初はとても難しく、ブツブツ切れたりボコボコしたり、太くなったり固くなったりしますが、練習すればするだけ細く均一な糸が紡げるようになっていきます。
スピンドルで糸紡ぎ
だがしかし、私は糸車を持っていません。しかも買うと結構高い。
でもスピンドルは持っていました。
スピンドルとは
スピンドルは最も原始的な糸紡ぎの道具です。
駒の様に回転の力を産みだし、糸を紡ぎ、紡いだ糸を巻きつけていく、という道具。
スピンドルが出来る前は石などに紐を巻き付けてスピンドルの代わりにしていたと思いますが、それに比べると紡いだ糸を本体に巻きつけていけるので便利になりました。
歩きながらでも紡げる
私は遊牧民が石を使って糸を紡いでいる映像を見た事があるのですが、その姿に魅了されました。
放牧をする為に歩きながら、そして紡ぎ歌を歌いながら数人でヨーヨーの様に石と糸を操り糸を紡いでいたのです。
「呼吸するレベルで糸紡いでる!かっこいいいー!すげー!」
糸紡ぎを言えば、綺麗な奥さんが糸車の前に座り、静かにことこととペダルを踏んでいるイメージでした。
昔すべてが手編みだった時代に手元を見なくても話しながらでも常に編み針を動かしていたという欧州婦人の話を聞いた時も感動しましたが、キャプテン翼の「ボールは友達」状態に糸を操れる人に私は憧れる様です。
話がだいぶそれましたが、私はこういう移動しながらでも出来る、簡易的な道具に執着があります。なぜか理由は分かりませんが、私は遊牧民気質の様です。
スピンドルで紡いだ糸
早速これで紡いでいきましょう!
Iちゃん初トライ
Iちゃんは糸車での紡ぎの経験があるので原理がわかっています。
最初からスピンドルでこんな風に紡げる人は少ないのではないかな、と思います。シンプルゆえに難しい。
Iちゃんは更に家で自主練をしてくれました。
家にあったフェルト用の羊毛や糸くずなどを組合わせてどんどん可愛い糸を作っていきます。
スピンドルを自作
かたや私。
スピンドルを自作しました。厚紙と菜箸。設計図はない、適当。
これで自分の家で採れた綿を紡いでみました。
紡げた!綿を紡いだのは初めてでしたが、このスピンドルだと細めの糸が紡ぎやすいようです。
ちなみに綿は繊維が短く縮れもないため、羊毛より紡ぎが難しく、道具も羊毛とは異なる綿専用のものを使う人も多いです。
スピンドルの形状や重さは色々あり、それぞれに紡ぎやすい素材だったり太さがあります。
身の回りにあるもので十分作れますので、色んなものを使って自作すると楽しいです。
ちなみに電動ドリルの先の回転を利用して糸を紡ぐ事も出来るそうです、趣はゼロですが・・・。
糸車での糸紡ぎ
その次の紡ぎ会の時に、Iちゃんはなんと!糸車をヤフオクで落札して持ってきてくれた。
糸車になると、糸を紡いた後の”棒に巻き付ける”という工程が格段に楽になり、効率がぐんと上がる。
だけど、道具の違いからスピンドルで紡いでいたものと、糸車で紡いだものと出来た糸に違いが出てしまった。
ともあれ、Iちゃんは原毛をほぼ全部紡ぎ終えた!あとはこの2色を撚り合わせて双糸にし、冬に産まれる赤ちゃんの為の小物を編む予定。
産まれたばかりの自分の子供に、毛刈りから作った服を着せてあげられるなんて・・・素敵すぎるー!
ちなみにIちゃんはかぎ針のプロなので、この後の編みの工程はもうお任せ。
私からの条件はこの2色の糸から3種類以上の糸を作って作品に入れる事。
彼女はセンスがいいので、どんな作品を作ってくれるかとても楽しみ(自分の作品は放置しているくせに)
シンプルな機械を使う魅力
一方の私。自分の原毛はカーディングが出来てないので糸紡ぎの工程までいけない涙。
なので糸車で裂き織り用の糸を追撚出来るか試したくて使わせてもらった。
だが、太すぎてボビンに入っていかなかった。
糸車にも種類が沢山あって、原料の種類によっても使う車は変わるし、作りたい糸の太さや形状によっても向いている糸車は変わってくる。
糸を紡ぐのも楽しいが、私はこういう機械を触るのが好きだ。
太い糸も紡げる様にしようと糸車の改造に挑戦している私の姿を、横で静観しているIちゃんの姿を見て気づいた。
「私全然そういうのダメなんです~」
「確かに、Iちゃんと比べると私って機械触るの好きかも!」
でも私も最初からこうじゃなかったと思う。
学校や仕事で色々な道具や機械を使ううちに、必要に迫られて自分でやっていくうちに成功体験を積んで、機械って面白いと思うようになっただけだが、一番私が面白いなと思うのは原料から服にするまでの道具は、身の回りのもので作れるというシンプルさだ。
シンプルなだけに自分の技術や工夫で色々アレンジが出来るし、調整もしなきゃいけないが、それもまた楽しい。
その楽しさもどんどん伝えていきたい。
ご近所の方は自給自服サロンで一緒に道具からの服作りをしませんか?
⇒サロンの詳細はこちらから