メルマガの読者さんから生地の選び方に関する質問をいただきました。
・服づくりをしたいけど、どんな生地を選んでいいか分からない。
・手芸店に好きな生地がない
・通販で買ったら、想像していた質感と違った
・思った形に仕上がらなかった
こんな感じです、うんうん、分かります!
とっても難しい質問なのですが、私なりに頭から煙出しながら答えていきたいと思います。
生地の名前は難しい!
最初に生地の名前の謎から。
なんか生地の名前っていっぱいあって難しくないですか?
それなのにお店では知ってて当たり前のごとく堂々と難しい名前が並んでいる!
なんじゃこりゃ?どれ選べばいいの?ってなりませんか?
名前は適当?!
なぜここでカレーが!?という感じですが、ここで質問です!
あなたならこのカレーに、なんていう名前をつけますか?
私は「目玉焼きカレー」かなと思います。ある人は「洋風チーズカレー」、ある人は「おかんのカレー」っていうかもしれません。
実は生地もカレーと同じです。
なんとなくの特徴で名前がついてます。
と言ったら言い過ぎですが、その程度に考えていいと思います。
同じ名前でも違う個性
よく、あまり考えずに名前だけで判断して失敗することがあります。
それは同じ名前、同じ種類の生地でも幅が広いからです。
「ガーゼ」といえばだいたいこんな感じ、という概念は一般的にありますが、皆同じ糸の種類、太さで、同じ密度で作られている訳ではなく、それぞれの会社、それぞれの設計士独自の規格で生地を作っています。
さらにその生地にどういう風に後加工(プリントなど)がされているかによっても風合いは全く異なっできます。
生地は1枚1枚個性があります、それを大枠で選別するために名前がついているぐらいに思ってください。
売る人目線な名前の付け方
それに、名前も生地の用途別につけている訳ではありません。
ブロード、ギャバなど生地の織り方、風合いを示すものもあれば、ギンガム、ボーダーなど柄を示すもの、ピーチ、シャギーなど、毛足の長さを示すもの、ゴアテックス、ベンベルグなどブランドを示すものなど様々あります。
要するに、星の数程ある生地を1枚1枚区別する上で、一番特徴的なところをピックアップしているだけなのです。
なんとなく私は生地の名前は買う人目線ではなく、作る人、売る人目線で選別し易い様につけられているように思います。
だから名前って分かりにくいんじゃないかな?
もちろん生地の名前を沢山知っていれば、どんな生地か聞くだけで想像は出来るようになるかもしれませんが、実際の風合いというものは触ってみないとわかりません。
でも生地の名前を調べると色々な歴史も分かるし、繊維好きならとても面白いと思いますよ。
生地好きならこの本かなりオススメです。生地の名前を覚えながら生地だけでなく、色んな知識が増やせます。ずっと見てても飽きない1冊。
どんな生地が欲しいのか自分でしっかり把握しよう!
よーし!名前の事は分かった!あまり悩まず生地を買いにいこー!
と、その前にあなたはどんな生地を買いに行くのか把握していますか?
「うーん、私と子供のおそろいワンピースを作りたいから、その生地。ベージュ系の小花柄が希望、かな♪」
そそそそれだけで戦いに望むのですかっ!?
ノンノン!
生地を買いに行く前にきちんと自分が欲しい生地はどんな生地かを考えてから行くことをお勧めします。
幅と丈、何m必要ですか?
まずは作るアイテムの型紙をしっかり見ましょう。
自分で型紙をおこしているなら把握していると思いますが、メインの見頃以外に必要な部分も合わせて、一体何mいるのかを把握しましょう。
生地は幅がそれぞれ違いますから幅と丈の両方チェックしておきます。
多すぎても足りなくても色々無駄が出てしまうだけでなく、高くついてしまうかもしれません!
用尺をきっちり把握していれば生地の値段を見て経費も計算しやすくなります。
素材はなあに?
次に何の素材を選びますか?
素材選びは生地選びの一番重要な部分だと思います。
素材にこだわらないから何でもいい、と思うかもしれませんが、素材によってデメリットがあったり、出ない風合いがあったりします。
・普通に洗濯出来ない
・家で染めたいけど、染められない素材だった
・子供がかゆがる
こういう希望の用途に合わない事が起こったり、なんか着心地悪い、、という事になったり、
・思い描いていたドレープ感がでない!
見本にしていた服と違う素材の生地を選んでしまった為に、同じ型紙で作ったのに欲しい風合いに辿りつかなかったりします。
その前に、素材ってなあに?と思う方は是非こちらを読んでみてください
見本を持って行こう
作るもののイメージ写真やイラストなどがあればそれも持って行くといいと思います。
それから欲しい生地に似た風合いの服があればそれも一緒にすれば完璧だと思います。
これは自分のぼんやりしていたイメージを実際の生地で具現化する為です。
ここまではっきりくっきり自分の求めている生地を想い描けると、いざお店に行った時に迷いがなく自分の求めるものにたどりつきやすくなります。
そして、何より他者に分かってもらいやすくなります。
星の数ほど沢山ある生地の中から選ぶのですから、お互い共通のイメージを描ける事が大事です。
一目惚れしないと心に誓う
もう一つ、オマケのアドバイスをさせてください!
それは、可愛い生地を見つけて興奮し、「きゃー!めっちゃきゃわいー!これ絶対いつか使う!」
と言って買ったものは絶対使いません。
ハッキリ言ってこれは自分へのアドバイスですが、同じような人を沢山見てきました。
もうアンタ生地屋になれるよ、というくらい押し入れに生地が詰まっている友人たちを・・・!
何に使うって決めて買わないと、いざ家に帰ってから、うーーん、これで何作ろう?と考えて考えて最後に捨てる事になります。
ズバリ!準備なく買った生地は使いにくいのです!
逆にしっかり準備して買うからこそ使える生地を買えるのです!
よーし!用意は出来たぜ、いざ出陣!
生地選びのパートナーを見つけよう
とりあえず一番近くの手芸店に行ってみましょう。
まず生地が分かる人を探す
着きました!
早速生地売り場に、、、は行かず、お勧めは勇気を出してまっすぐカウンターに行く事です!(手が空いてそうな時に)
そして質問。
「服を作りたいと思って生地を探しているんですが、教えていただける方いらっしゃいますか?」
という聞き方がいいと思います。
ここで「ワンピースが作りたいです」とかアイテム名を言うと、「あ~じゃあだいたいこの辺から選んでいただければいいかと、、、」と生地コーナーに案内され、結局自分で選ばなきゃいけなくなります。
そうではなく、誰か生地が分かる人を探して一緒に探してもらいましょう!
店員さんが全員生地が分かる人とは限らないのでいきなり手当り次第に、これこれ!これ作りたいのよ!と諸々見せつけて、戸惑われるとこっちも戸惑うので一番わかる人を呼んでもらうのがいいと思います。
欲しい生地を説明しよう
「お待たせしました~」
あ!出てきてくれました!早速説明を。
「実はこういう形の服を作りたいと思っていて、合う生地を探しにきました」と自分の希望を準備してきたものを使ってなるべく具体的に伝えましょう!
ここで今までの準備がかなり役にたつと思います!
初対面の人に言葉だけで詳細まで伝えるのは難しいです。
目で見て触ってもらうのが一番スムーズです。
しっかり準備してきてよかったですね!
形と生地を結び付けられる人なら、ふむふむ。とすぐ分かってくれるはずです。
逆に色々自分が気づかなかった点に気づいてくれてアドバイスがもらえたりもします。
いやいやいや、ハードル高いでしょ!と思うかもしれませんが、私は経験のない人が一人で形と生地を結び付ける方がハードル高いと思います。
自分一人で探す方が気持ち的には楽ですが、分かる人に探してもらう方が何倍も早く、いい成果が確実に出せます!
だから最初に探すのは生地、ではなくて生地が分かる人、がいいと思います。
結局何回も失敗を重ねて余分な生地を買うという遠回りと比べればぐっとハードルが下がり、、ませんか?
お友達にいたら最高ですがいない場合はこうやって地道に開拓していくしかありません。
生地をピックアップしてもらい、選びましょう
さて、一緒に生地売り場に来ました。
お店の方が何点か選んでくれたとします。
「そうねー、これとか、これとか、、この辺はどうでしょう?」
ほうほう、こういう生地がこの形に合うのか!
やっぱ聞いてよかった!と思ってくれたら私も嬉しいですが、感動はそこそこにして、そこで一生懸命選んでくれた生地を触って感覚を覚えたり、生地の名前や特徴を聞いてメモしておきましょう。
さらに「どうしてこの生地が合うんですか?」と店員さんに根掘り葉掘り聞いて勉強するのもとても面白いと思います。
そして、ピックされた中に気に入るものがありそうならじっくり選んでみればいいと思います。
気に入ったものがなく、他にもないか聞いて「うちにはご希望のものはなさそうです」と底をつきたら、そこで妥協して買わない事も大切です。
せっかくここまで付き合ってもらったのに申し訳ない感があるかと思いますが、生地以外にも洋裁に必要な道具を買う事は出来ますし、お店にとっても貴重な意見につながると思います。
手芸店は洋裁に限らず、手芸全般で平均的に売れる物をまんべんなく置いているので、なかなか手芸屋一軒で正解に会える!とは限りません。。
妥協はしない!そして諦めない
「はー!あんなに準備してお店の人にも相談したのに結局何も買えなかった!星の数ほどある生地の中からって言ったのに全然ないじゃないか!
・・・これなら服買った方が楽だし、安いわ!」
うわー!そんな事思わないで!
まだまだ探すところはありますよ!
お気に入りの生地や生地屋を見つけるのは最初のうちはそんなに簡単じゃないと思ってください。でも慣れたら全然楽になり、洋裁との距離もぐっと近づくのでその為の一つの関門かもしれません。
それに妥協して買うと、それを服にしよう!というモチベーションが下がりそのままお蔵入りしてしまう可能性もあるのです!
じっくり選びましょう。
情報収集をしよう
さて、先程の店員さんとは仲良くなれましたか?
今回は買わなかったとしても、もう少し図々しく仲を深めて帰る事をお勧めします。
探してもお店には気に入ったものがなかった、としたら、
「この辺に他に生地が置いてあるところはありますか?」
「あなたは服の生地をどこで買っていますか?」
といった感じの質問を投げかけてみましょう!(なるべくお店の片隅で雰囲気読みつつ・・・)
やっぱり地元の生地屋の情報は地元の洋裁家が一番知っています。
ネットにも出てこないような穴場的なお店を知っていたりしますので、自分で探すより断然早くて楽に情報に辿り着けます。
お店じゃなくても、こういう販売会が年に1回あって買いだめするのよ~!とか意外に気軽に教えてくれるものです。(多分ね!)
洋裁を沢山する人程、安く生地を手に入れている気が私はしています。何か奥の手を持っています、、!そんな臭いがする!
なるべく生地は自分の目で見て触って選びたいものです。
自分と同じ生活圏で洋裁をしている人、生地を知っている人に近づいていって、一体皆はどこで生地買っているの?という情報は積極的に集めるといいと思います。
何も買わんのに聞けんわ!と思うかもしれませんが、ここで一枚生地を買わなくても、洋裁を続けていれば手芸店に足繫く通うようになります。
自分でもそういうつもりでいれば、少し気がねがなくなるのではないでしょうか?
いやー!無理無理!そういうの無理!
知らん人に話しかけるとか、、私やりたくないわ!
そんな人もいらっしゃいます?
じゃあ次はネットで探してみましょうか!・・・
ネットで生地を買う難しさ
最初に言うと、ネットでの購入は、お手軽さや種類の豊富さが圧倒的にいい反面、ぐっとレベルが上がると思います。
触れないし、名前も説明の単語も難しい、種類が沢山ありすぎる。
こういう状況で一人で選ぶ事になるからです。
今は初心者にも買いやすいページが増え、なんとなくで買ってもそれっぽいものは出来ると思います。
でも、長く使えるお気に入り、になるかどうかは、運です。
なんか着心地良くていつも選んでしまうTシャツと、柄は好きなのに肌触りが好きじゃなくて着なくなったTシャツ、とかありませんか?
そんな感じです。人間の肌は敏感なので少しの差でもすごく着心地に影響してきます。
ネットでカレー買うのと一緒です。
買った後にしか美味しいか分からない。
どんなに見た目が良くて、評価が高くても、自分にとっていい風合いかは購入後にしか分かりません。
一か八か!です。
ネットで陥りがちな失敗
さてお店の人が選んでくれた生地をメモしてきました。
綿 100%
種類 ブロード
幅 110cm
柄 小花柄
この情報を元に探していきましょう!
ポチッ!
なんかかわいいのいっぱい出てきた!
これもこれもいい!
あれ?でもシーチング?綿ローン?名前が違うけど、、どれもワンピースができるって書いてある、、?!
そうなんです、ここでまた名前問題に戻ってきます。
ローン、シーチング、ブロードは洋裁初心者が使う代表的な生地だと思います
似てますけどどれも用途が少しずつ違います。
つまりどれでも似たような形のワンピースが出来るけど、ちょっとだけ違う。という事です。
ちょっと薄い、張り感が強い、光沢が強い、もったりする、そんな感覚の違いです。
お店の人がブロードを選んでくれたので、ネットでもブロードで探すのがいいと思いますが、もしかしたら他の生地では適当な小花柄がなかったのでブロードを選んだだけかもしれません。
そういう訳で「なぜこの生地を選んでくれたのか?」を聞く必要があったのです。
うーーーん、、、よく分からんなぁ、、でも、このお店のこの柄が可愛いし、これにしよっか!送料安いし。
ネットで買うと訳わからなくなって最終的にこのパターンになります。
名前難しい→よくわからん→かわいいのかっとく→失敗する
こうならないようにもう少し作戦を練りましょう!
製品見本が載ってる生地を探そう
といっても、最初は生地の細かい内容は理解が難しいと思うので、写真が主な判断基準になります。
というわけで、なるべく色々な種類の生地写真が載っているものを探しましょう。
特にお勧めは製品見本が載っている生地。
生地の柄だけ、上から撮っただけの写真が載っているものより、ずっと生地感が分かると思います。
こういう感じの服が合うんだ〜、がわかるだけでもだいぶ違います。
製品まではいかなくても、トルソーにかけている写真や、手で生地をつかんだ写真など、工夫して生地感を伝えようとしているお店が多いと思います。
こういう写真が載っている生地から、自分の作りたい感じに合いそうなものを選ぶのがいいと思います。
サンプル生地をもらおう
サンプル生地を有料または無料で送ってもらえるお店もあります。
サンプルはとても小さい端切れなので、そこから洋服になった時の想像をするのはこれまた難しいのですが、それでも触れるのと触れないのでは大きな差だと思います。
色のバリエーションも生地で見られるのでそれも誤差がなくなっていいですよね。
型紙とセットで買おう
型紙とそれに合う生地を一緒に提案してくれるサイトがあります。
すでに型紙がある場合はわざわざ買うのももったいない・・・となってしまいますが、そんな時は似た形のパターンを探して、提案されている生地だけ買うというのもありかもしれません。
正直、自分で生地を探すという手間が一気に省かれるので、それが負担に思う方にはこのやり方が一番いいかもしれません。
型紙の種類もものすごく豊富で見ているだけで楽しい!
生地探しのステップ まとめ
以上ですがこれで辿り着けそうでしょうか?
最初から一人で頑張って探そうとしてもすんごく難しいよ!という事は、ここまでの私の長い無駄話で分かっていただけたかと思います。
一人でやってくじけるより、どんな形でも「導いてくれる人」を探して初めてみてほしいなと思います
1.生地の名前にあまりとらわれず
2.欲しい生地の詳細を自分で把握し
3.生地探しのパートナーを探し
4.それでもなければネットで一生懸命見極めて買う
このステップを踏みながら、自分で経験を重ねていくと、この形にはどんな生地を選べばいいのか、とか名前の事もだんだん分かってきて、いつの間にか自分で形と生地を結び付けられるようになると思います。
そうなると生地選びもぐーんと楽しく、楽になると思いますし、その頃には衝動買いしたあの生地、この生地も、使いこなせるようになっているかもしれません。
最初でくじけず、頑張りましょー!