ベンガラで原毛を染めた後、娘の通う幼稚園でベンガラ染のフェルトを使ったワークショップがあったので早速参加してみた。
ベンガラ染料を作る
講師は家洞眞貴子(やぼらまきこ)先生。
岐阜市内で絵画教室をされている方で、私は今回初めてお会いした、はずだけど、なんだか初めての気がしない。うーーーん、どこかで会ったような???
ベンガラ染料を作る講習会
先生は長年草木染めをしてきて、何か違うものを、と思ってベンガラ染に辿り着き、私が使ったベンガラ染料メーカーのある大阪まで行って、そこでベンガラ染料を作る講習会を受けてきた。
それだけでもすごい行動力!と思うのだが、「どうせなら地元岐阜の土を使いたい」と思ったそうだ。
しかしベンガラに使う土はそんなに簡単に採取できるものではないらしく、かなり深く掘り下げないと使えないし、掘り下げたところで本当に使える土があるのかどうかも分からない。
そこでいったん手が止まってしまった。
土との出会い
そしてベンガラの事を忘れかけたある日、誘われていった陶器市での出会いから、陶器に使う土を売っているメーカーに辿り着いた。
そのメーカーでは瑞浪(みずなみ)の地底湖から採った土で、一千万年前くらいに出来た土、とのこと(私のメモ書きなので間違ってるかも)。
一千万年前と言われてもよく分からないけど、瑞浪がまだ海の中だった時代、マンモスがそこらじゅうを歩き回っていた時代の土。。。
瑞浪はクライミングの名所で何十回と通った場所。あの岩が隆起してできる前の土なんだ、と考えると私でもロマンを感じる。
そんな土を使って先生は自分でベンガラ染料を作った。
なんたる!
ベンガラ染の不思議
ベンガラ染の感触
先生はその染料でフェルトを染めてきてくれた。
今日はそのフェルトで小さな小物入れを作るので、ベンガラ染料そのものに触れることはない。
ちょっとした針仕事をするだけなのだが、そこにも小さな驚きがあった。
何種類かの土でそれぞれ違う色に染めたウールフェルト。
「草木染とはまた違う感じがするでしょ?」と先生は言う。
確かに何がとは言えないんだけど、草木染の透き通った感じとは違う、土っぽさを感じた。
でももしこれがベンガラで染めたと言われなければ、分からないかなぁと鈍い私は思った。
ひとつWSで作って、もうひとつ家で作る事にした。
先生がベンガラで染めた毛糸で刺繍をしていく。
小物入れなので中から見ても外から見ても同じように見えるように綺麗に刺繍していかないといけなくて、慣れない私は刺繍に集中していて、ベンガラ染の事はすっかり忘れていた。
でも時折自分が土を感じてハッとするのだ。
ハッとして手元を見て「ああベンガラだ・・」と思うのである。
これがとても不思議な感覚だった。別にじゃりじゃりザラザラしてる訳でもない、土がまざってるわけでもない、普通の柔らかいフェルトのはずなのに。
自分でも分からないどこかで感じている。
すべての工程に意味がきちんとあるんだなぁとラウカパラでの学びを思い出した。
不思議な出会い
講座の日の家洞先生はベンガラで染めたニットを着ていて、
「ベンガラは洗っても落ちないし、日に当たるとどんどん色がしっかり定着している感じがするの」
と話していて、それにすごいすごいと驚いてその印象が残った。
でも後日たまたまマルシェで先生と再会し、その時の服装と先生の顔を見て、またハッとした。
やっと思い出した!
先生は私の繊維の学校の恩師にそっくりだ!
顔もそうだけど、服の感じまで似ていた。
だからどこかで会った事があったと思ったんだ~と納得したけど、あまりに似ているし、同じような立場で会う事がとても不思議でならなかった。
これは何かのメッセージ??
とにかくまた大事な人に出会えた気がして嬉しくなった。
何かを求めて旅をして、人に出会う、その楽しさに加えて不思議さもあるもんだ、とまたワクワクしてしまった。
先生は「山を切り崩したりするから環境破壊の面もあるよね・・」とベンガラ染の事を危惧していたけど、なんだかその奥深くに眠っていたパワーを私は感じた。
【関連サイト】
繊維を通して活動していると、自分の近くにこんなすごい人がいるんだ!こんな面白い人いるんだ!と自分の身の回りにいる素敵な人と出会う事ができます。
ひとつの事を追究していくってそんな楽しい事もあるんだなぁと改めて自分に「好き」なものがあって良かったなと思います。
メルマガでも私の師匠の話や身近にいる私の繊維仲間の話もしています。
是非読んでみてくださいね。