やまんば自然菜園で去年栽培した綿はおおよそ10株程度。そこから採れた綿の総量が昨日やっと出た!自作綿繰り機で毎日コツコツ暇を見つけては繊維と種を分けていたが、たったこれだけでもだいぶ疲れた。来年はこれにハンドルをつけよう!
やまんば綿の収穫高
さあ、何グラムだろう?これで何が出来るだろう?
15.6g
ん?少なっ!量り間違い?
試しに近くにあった3歳児のパンツを量ってみると、25g。
子供のパンツ一枚も作れないじゃないか!
Tシャツ1枚に必要な面積は6㎡(綿100株)
よし計算してみよう。
綿1株1.5gの収穫高
→株間20cmで植えて1㎡に16株
→1㎡で24g
子供のパンツ一枚作るのに1㎡必要。私のTシャツは150gくらいだから、だいたい6㎡に100株みっちり植えてなんとかできる計算。
ふーん。
あれ?じゃあ今年せっせと綿120株植えたけど、本気の自給しようと思うと、来年家族の新しい綿の服は私のTシャツ1枚と娘のパンツ1枚だけ。
それも全部実がなって、すべての繊維をきっちり使えれば。
そっか、、、
もっと増やす?でも食べれる野菜も育てたいしな。
世界規模で考えてみる
自分で綿を栽培して収穫してみて初めて分かったけど、服作るのにどんだけ面積いるんじゃ!
そもそも私の収穫高は世界最低レベルだと思うので全然参考にならないけれど、それにしてもこれを世界規模で考えると恐ろしくなります。
テキスタイルメーカー勤務時代は、綿の糸をオーダーすればハイハイーっと糸屋さんが持ってきてくれて、段ボールが山の様に積まれていた。
世の中見渡せば格安の綿製品が市場にあふれかえっている。
きっと世界の多くの国が同じ状況だろう。
それに洋服を工業的に生産すると、だいたい原料から製品になるまでロス率50%って聞いたことがある。
それらを踏まえて考えると、世界中でどんだけ綿畑があるんだろう?
その一部でも食べものに変えたら、どれだけ飢える人が少なくなるだろう?
強制労働、児童労働で綿製品は出来ている
綿生産に関わる労働問題は新疆ウイグル自治区の強制労働の問題が、最近では注目されていますが、もっとずっと昔から綿花の栽培には奴隷を使った労働力が使われていました。
最近でもインドでの児童労働問題は有名です。
それだけでなく、強い農薬を使う為にそこで働く子供たちが農薬被害で死んでいったり、ひどい土壌汚染も懸念されています。
また、安い値段で買われる為、経営は困難を極め、子供を売ったり、自殺する経営者も多く、綿生産に従事する人の環境はとにかく劣悪です。
世の中の綿製品の多くはこういう現状です。
天然繊維が好きな人
私、天然繊維が好きです。
着心地が良く、心穏やかに過ごせるから、、、
でも背景は全然穏やかじゃない。
羊だって育てるのに牧草が必要、エサが必要。そのためには土地がいる。
沢山効率よく育てるなら、どれもこれも人間都合の環境破壊につながる。
天然繊維の方が環境にいいんでしょってもんじゃない、そーじゃない。
もちろん着るものだけじゃない、食べるものだって、なんだって。
世の中の物全部現場を見るとぞっとする、怖くなる。
大事に使う、買い物は投票
テキスタイルデザイナーの時だって、こういう事を知っていたけどそこを考える余地はなかった。世界的ムーブメントとかが起きると一瞬、それに対応する、という感じだった。
でもこうやって綿を育てて、繊維を抽出してみて、やっとその大変な事態が本当に分かった。
肌で感じるってこういう事か。
これが分かってしまったら、同じテキスタイルデザイナーには戻れない、と思った。
大切に着よう、新しい自分の服はもう買わない。
幼稚園で泣いてるあの子が炎天下の中、農薬ガンガン浴びながら12時間も綿畑で働かされるって想像したら?胸が張り裂けそう
作れなくて買う物は、きちんと投票の意識を持とう、これしか知らないし、これしか出来ない自分がちいちゃい。
でもこの流れを止めれるのはテキスタイルデザイナーでも、糸屋の社長でも、綿畑のオーナーでも政治家でもない、一人の「わたし」なのである。