機械編みや編み機とは何か、私なりにまとめてみました。
一言で言うと「棒針と同じ編み物を高速で編んでくれる機械」です。
マフラーを作っている動画をご覧ください。最初の15秒だけでオッケイ!
この様にハンドルを左右に動かすだけで生地が編めていくのが「編み機」です。
仕上げは手やミシンで縫製する事が多いです。
棒針で出来る事が基本的には出来るので以下の様なものが編めます。
これはほんの一例。
編み機は、本当に使える機械で自分の工夫次第でものすごい色々な事ができます。
もっと詳しく知りたい方は下まで読んでみてくださいね!
機械編みとは
手編みに対して、機械で編んだ物を機械編みと広い意味では言いますが、だいたいは「機械編み=家庭用編み機を使う編物」を指している場合が多いです。
家庭用編み機とは
編物を編む為の機械ですが、工場で使われている大型の機械に比べてもっと手軽に、家庭で使える仕様の機械です。
工業用編み機 | 家庭用編み機 | 手編み | ||
編む速度: 早い | > | 中間 | > | 遅い |
使える糸や技巧: シンプル | < | 中間 | < | 凝ったもの |
どんなものが編めるのか
身につけるアイテムならだいたいどんなものでも編めます。
基本的には天竺(メリヤス編み)を編む機械なので棒針で編むものを早く編める機械です。
曲がった針先の針を使いますが、かぎ針編みと同じ事は出来ません。
目を隣に移す、寄せの技術で作るレース編みは出来ます。
機種に依存する
編み機はいろんな種類があります。
まず、編む糸の太さによって使用する機種が異なります。
セーターの様な太い糸と、下着の様な薄物用の細い糸を同じ機種で編むことは出来ません。
大は小を兼ねる事は出来ず(特殊な場合をのぞいては)、糸の太さに合った機種が必要です。
大きく分けるとサイズは4つあります。
さらに、キャラクターをセーターに描きたい、細かい柄を全面に描きたい、もっと〇〇にしたい、自動で〇〇したい、、、と出来る事を増やそうとすると、その度にオプションの部品をつけたり、その技術が対応している編み機を選んでいく事になります。
つまり「サイズ×使いたい技術」の分だけ機械が必要、という事です。
これを聞いて「えー、、めんど!」と肩を落とした方、大丈夫大丈夫、どうぞもう少し読み進めてみてください!
購入とメンテナンス
メーカーと価格帯
現在国内で編み機を作っているメーカーは1社のみ。
メンテナンスを行っている会社もあります。
DLLES IN(編み機メーカー)
(株)シルバーリードサービス(メンテナンス)
ただ、なかなか初心者が挑戦しにくい価格でございます。
私は全て中古の編み機を使っています。
中古の編み機の価格は数千円~ですが、整備済みのものは、新品と変わらないくらいいい値段します。
メンテナンスのコツ
確実なのは新品またはメンテナンス済みのものを買う事です。
中古で買ったものはメンテナンスもできないもの、メンテナンスの方が費用がかかるもの、などもごろごろしているからです。
ただ、冒険したい人、初期投資をなるべく押さえたい方には、中古で綺麗そうなものを購入し、自分でメンテナンスするという道もあります。
自分で、と言うと多くの方が「使ってもないのに直すなんて私には無理・・」と思考停止してしまいます。
でも大丈夫です、まずは身近にいる「なんか何でも直すの上手な人」を探してみてください。
編み機のいいところは、工業用の機械に比べてシンプルであるところです。
錆をとる、経年劣化している部品をネジを回して取り替える、等々、よくある簡単な機械の整備と同じです。
実際私も身近にいる得意な人に、「このパーツはこういう風に動いて、このパーツと接してるんだけど、ここに指すならどんな種類の油が最適?」という感じに聞きます。
そうすると、それならこれだ、と簡単に答えを出してくれます。
なんならついでにやってくれます。
もちろん素人がやるのとプロがやるのでは確実に差があり、素人が手を出したばっかりに事態が悪化した、という事もあります。
でも私はメンテナンス自体が好きなので、教えてもらうのもやってみるのも大好きで、安いのを買って挑戦してみたいタイプです。
お金をかけずに自分で修理をするのも楽しみのひとつだとも思っていて、それを自分でやるかどうかを選択する余地がある、というところが編み機のいいところだと思っています。
取扱いの難しさ
編み機って難しいんでしょ?
編物が出来る前提で使う物でしょ?
そういうイメージの方が多いと思います。
これに対して私の答えは
「コツはいるけど動作は単純。少し編物の知識は必要。編物が出来ない人でも使える」
というところです。
最初慣れるまで、仕組を理解するのがやや難しいです。
失敗したところを直したりするのに編物の知識が必要です。
編物の知識がある方が有利ですが、なくても十分理解できる内容だと思います。
さらに高度な技術を求めれば、難しくなりますが、簡単な事だけしていても十分使える道具です。
実際それを証明してくれた小話も後ほど出てきますのでまだまだお付き合いください。
設置する際の注意点
上記の編み機メーカーのページから詳細を見ていただければ大きさや重さの仕様が分かると思います。
大体勉強机の半分くらい、場所的には必要です。
ちゃぶ台の高さではなく、椅子に座って編める高さの台の方が操作がしやすいです。
重さは機種によってバラバラですが、持ち運びが出来る範囲内です。
注意が必要なのは音。
結構音が大きい為、夜アパートでジャージャーやるとクレームが来ると思います。
「毎晩麻雀やってるかと思った」と言われた人がいるという話を聞いた事がありますが、確かにそのくらい大きい音だと思います。
私が機械編みをおすすめする訳
自給自足と相性がいい
「服の自給自足専門家」と名乗っているのに「機械?!」と胡散臭さプンプン感じちゃう人もいるかもしれませんが、私は服の自給に大活躍なアイテムだと考えています。
カットロスがない
自分で育てた綿や刈った毛をちまちま紡いで草木染してやっと糸が出来た!
そんな大事な糸、1gも無駄にはしたくないはず。
しかし織物にして生地にしてしまうと、洋服を作る時に裁断作業があります。
がびーん!せっかく紡いだ糸がロスになる・・・
じゃあ、余った端切れを有効活用!って思うけどなかなかそこまで手が回らないのが現実。
編み機なら形で編めるので、無駄なカットがいりません
生地や紐が出来る
とはいえ、カーテンなんか大きい生地が欲しい時がある。
そんな時にも大活躍。
私が一番気に入っているのはこの「生地がすぐ編める」というところ。
織物の様に経糸の準備をする必要なく、自分の好きなサイズで生地が編めるのである!
ついでに紐も作れる。
四角い小さな生地を組合わせれば無駄なくカバンだって作れる。
カバンの紐も作れる。
これは本当にすごい事だと私は毎回感動するのです!
細い糸が使える
これは細い機種に限っての話なんですが、細い糸を使えるのもすごいメリットだと思うんです。
世の中に繊維メーカーの工場から出た残り糸って沢山あるんですが、一般的な手編みでは細すぎて使いにくく、リユースのニーズがありません。
だから値段がめちゃ安いし、売るのも面倒くさくてどんどん廃棄されています。
織物は細い糸も結構使えますが、手織りだと織るのに時間がかかってそんなに消費できません。
でも細い編み機なら、ジャージャージャンジャン細い糸を編んでいけます。
薄いニットの生地を作って、裁断して下着やTシャツなんか作れます。
いわゆるカットソーですね!
もちろんカットロスは出ますけど、糸をリユースする方が全然エコだし、残り糸を使えばかなり日常着を安く作れると思います。
編み機は長く使える
編み機は昔作られたいい機械です。
そして作りは単純。
世の中の廃棄待ちの編み機をレスキューして長く使ってあげれば、こんなに素晴らしい事ってないじゃあない?
編み機にしか出来ない事がある
私が編み機と出会った訳
私は最初、勤めていた繊維メーカーで工業用の横編み機を使っていました。
その後、別のニットメーカーに修行に行った時に師匠と出会い、通称「手横」と言われる家庭用編み機の工業版みたいな機械の使い方も教えてもらっていました。
しかしある日師匠に「工業用編み機でも手横でも編めない糸がある、家庭用編み機なら編めるかもしれない」と相談され、初めてその存在を知りました。
早速ネットオークションで編み機を購入し、試作してみるとなんと!編めるではないか!!
という事で、話はどんどん進み、その家庭用編み機を使って編んだ生地が数か月後パリコレでデビューしたのです!
シンプルでも世界に十分通用する
そんなトップブランドの生産を、家庭機ど素人の私と、なぜか巻き込まれて一緒に生産をすることになった友人と二人で請け負い、「私たちでいいんかねぇ・・」と言いながらも問題なく納品し、その後もそのシリーズを何年かに渡り生産しました。
(ちなみにその友人は編物をしたことがない人です!この事実が私の発言の裏付けとなっている)
その後も師匠は家庭用編み機に合った製品をどんどん産みだし、私はその生産を受け持ちました。
しかし当時の私たちは、一番シンプルな機械しか使っていません。
オプションも何にも付けず、サイズも一番太い糸が編める機械だけ。
それでも使う糸や、少しの工夫で世界に通用する編物が十分編めるのです!
(師匠が世界に通用するものづくりの神様である、というのがミソでもあるんですが・・)
だから、編み機って色々揃えるものが必要ってあまり思わないで欲しいのです!
いいとこどりが出来る
工場で使われている現代の編み機はすさまじい勢いで進化を続けており、高度な編物を高速で編む事が出来ます。
でも彼らが目指しているのは、「手編み」です。
「手編み」の様な複雑な技術、「手編み」で使う様な変わった糸を、機械でも編めるようになりたい!と恋焦がれて日々精進しているのです。
その中間をいくのが、家庭用編み機です。
だからこそ、手編みでしか出来ないような糸を使って、世界中の人に向けて量産が出来たのです。
日常着にこそ向いている
ちなみに師匠とどんなもの作りをしていたか、ちょっとお伝えするとほとんど無地のセーターやカーディガン、パンツといったアイテムです。
師匠は糸のクリエーターでもあったので、糸を見せる為にあえてシンプルなものづくりをしていたと思います。
あまり柄の入ったものは家庭用編み機では作っていませんでした。
私はそのもの作りに慣れているせいもあるから思うのかもしれませんが、それで十分じゃないかと思います。
日常的に着るものは多くの人が無地ばかりです。
そして、同じパターンでも糸を変えるだけでも、ものすごい幅が広がります。
どうしても作りたい技術の凝ったものは手編みする。
日常着はパターンを一つ作って、編み機でちゃちゃっと何枚も違う糸で編む。
後ろ見頃の柄は手で編んで、前身頃と袖は無地だから編み機で編んでくっつける。
と言う様な使い方をすれば、1台のシンプルな編み機で十分日常着は賄えると思います。
ついつい色んな事がやってみたくてあれやこれやと機械が欲しくなりますが、私はまずは最初の一台で出来る事の可能性を探る使い方をお勧めします。
おすすめのはじめ方
ひと昔前、自分で洋服を作っていた時代には各家庭に1台あったと言われるくらい数多く生産されていましたが、大量生産の時代がやってきて「洋服は買う物」となった今では完全に時代に取り残された存在となってしまいました。
「編み機ってなに?」となったこの時代にどうやって編み機をはじめたらいいのでしょう?
編み機がすたれた原因
その前にちょっとこの話題に寄り道させてください。
なぜミシンは残って編み機はすたれたのか?
「いやいやミシンと比べるなんて!ミシンの方がもっと汎用性高いでしょ!」とツッコミ入れたくなる人もいるかもしれませんが、私はミシンと同じくらい汎用性高いと思ってます。
なのになぜ?
もちろん一番の原因としてミシンより扱いが複雑というのはあると思います。
手編みが出来る人に、機械だけ渡して使ってみてくださいと言っても、ハイ分かりましたと使える人はそうそういないと思います。
ほんのちょっと機械を扱う知識が必要です。
その為昔は編み機の多くは講習会とセットで販売されていました。
編み機を買ったら「〇〇手芸店で編み機の講習会が〇〇回受けれます」というチケットがついていたりしました。
もちろん説明書も付いています。
だがしかし、この説明書が問題だと私は思う。
果たしてこの説明書だけで編める人っているのだろうか?と毎回疑問に思う程、初心者には難解だったり説明が足りなかったりする。
つまり、「説明書に一応最低限の事は書いておくけど、後は講習会で習ってちょ♡」的な説明なのであーる(あくまで私の見解です)
説明書は理解できなくて当然!?
「編み機あるけど、なんか説明書見ても使い方がよー分からん、チケットの期限も切れるし、そもそもその手芸店ももうないし、機械編みの先生も近くにおらへんし・・・・あかんわ~。」
こうして編み機は過去の遺産になっていってしまったのではないか・・
もちろん私の仮説だが、説明書を読めば出来るとは思わない方がいいし、最初からそこは頼らない心づもりで読んで欲しい。
ミシンは頑張って説明書を見て糸道通せば、感覚的に使えるけど、編み機はもう少し助けが必要なのである。
とにかく説明書でくじけないで欲しい、という事は私は強く伝えたい。
最初は先生を見つけよう
満を持して自分のセールスをすることになって少し心苦しいのですが、、、
そうです、でも本当にそうなんです。
知ってる人に聞くのが一番早いです、くじけないです。
もちろん今の世の中いい動画も沢山あります。
が、分からないところを検索する事さえ出来なかったりします。
最初は本当にちょっとした事で必ず一度はつまづきます。
糸の置く場所がちょっと悪い、機械を動かすスピードがちょっと速い、おもりのかけ方がちょっと悪い。
そのちょっとを検索する事はなかなか難しいのです。
手編みの知識も必要なので、機械編みだけの動画じゃ分からないところが出て来たりします。
本を探すという手ももちろんあります。
機械編みの教科書などの書籍もネットで検索すれば廃盤になっているものも入手できると思いますし、ヴォーグの「毛糸だま」では今でも機械編みのやり方を掲載しているコラムも続いています。
でも私は先生に教えてもらうのが一番!
「早い・安い・楽だ」と思います。
お近くの方も遠くの方も是非私の教室へ!
メンテナンスや編み機選びなど、最初から一緒にやりましょう~!
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