先日家のチャボの紹介をしたばかりだが、その中の一番小さなクロが先日野良猫に連れ去られてしまった。
娘が一番可愛がっていた子を失ってしまった。
その日は幼稚園から帰ってきたあと、綿の種まきが遅れていたので庭の一部を焦って開墾していた。土を掘ると虫が出てつつくので庭から畑に放してつつかせていた。
かまってほしくてたまらない娘は鍬の先をチョロチョロしていて鍬に当たってしまい大泣き。蚊が出てきたので一旦玄関に入ってなだめていたら、ティントンのすごい声が聞こえてきた。
急いで飛び出すと、黒い野良猫がクロをくわえて持ち去るところだった。
隣の畑に入ってその隣まで入ったとこまで追いかけたが、もうすぐに見えなくなってしまった。
もっと探したかったが、おいて行かれた娘は大泣きし、ティントンたちも興奮してずっと叫んでいるので戻った。
それに運ばれているクロを見て、一瞬で絶命しているのが分かった。もう助からないと前回の事を思い出していた。
「クロはどこ?!クロがいない!」と鶏小屋の中まで見に行く娘。
とりあえず他の3匹を鶏小屋に入れようとしたら、キイの姿まで見えない。
心配で娘を抱っこしながら探し回ったが見つからない。
とりあえず鶏の庭にいれておいたティントンが一声鳴いて、いつもは載らないフェンスに飛びのり、クロの姿を探し始めた。
「ごめんね、クロはもう帰ってこないんだよ、、、キイちゃんも、、ごめんね」とティントンタントンに謝っていたら、バタバタバタ…とキイがどこからか飛んで戻ってきた。
怖がりで飛ぶのが得意なキイは一目散に遠くに飛んで逃げていたらしい。
人嫌いのキイも静かに私の両手に抱かれ、いつもは絶対乗らない私の肩にティントンとタントンがのり、しばらくの間みんなで寄り添っていた。私もずっと足の震えが止まらなかった。
やっぱりすごく怖くてショックだったんだなと思い、本当に申し訳ない事をしたと心でずっと謝り、生きている彼らの体温を感じていた。
娘はキイが戻ってきたのを見て、「クロも戻ってくるね!」と嬉しそうに言っていた。
元夫も帰宅し、その事を伝えると驚き、「かわいそうに、、、」と本当にがっかりしていた「せっかく大きくなったのに」ともつぶやいていた。
私の失態を責める事はしなかったが、心ではすごく責めたかったと思う。
私も、自分は一体山で何を学んできたんだと思った。
私もあの小さなクロが大きくなる姿を夢見ていた。あんなに小さかったのにねぇ、と早く言いたいと思っていた。まだ3か月しか生きていない。ずっとお母さんの羽の下にいたい、甘えん坊の子供だったのに。
そして次の日の朝、鶏小屋を開ける。当たり前だがクロはいない。
いつも座っていた場所を見て寂しさがこみ上げる。
ティントンがまたフェンスにのってクロを探す、キイとタントンも後に続く。
「もうクロは戻ってこないんだよ、守ってあげられなくて本当にごめんね」
そういって彼らを庭に戻す。それ以来もう探さなくなった。
寝室で娘が起きた音がするので傍にいくと、目を開けた瞬間
「クロ、戻ってきたね!ね、クロ、戻ってきたね!」
と言ってニコニコ笑う。
ああ、クロは娘の夢に戻ってきてくれたんだな、サヨナラとありがとうを言いに来てくれたんだなと思った。
クロと娘の絆を感じ、涙いっぱいになった。そして、
「クロはいないよ、もう戻ってこないんだよ。でもちゃんとクロは夢で会いにきてくれたね」
そう言って、クロのいない鶏小屋を見せた。