編み機交流会での忘れられない話②

大阪のリアル交流会で心に残ったお話しの続き。
前回のお話しとは対照的なストーリーがありました。

戻ってきたベビー服

生徒のMさんは長年手編みをアカデミックに習われてきた方で、そのMさんのお仲間の方のお話しをしてくれました。

その方はお孫さんが生まれたとき、誕生を祝ってベビー服を編み、手紙を添えて息子さんご家族へ送ったそうです。

ところが、その贈り物は手紙も含めてそのまんま彼女のところへ戻ってきました。

理由は、

「お手入れが大変だから」

それは誕生を迎えてくれた証

私はこの話を聞いて、とても残念な気持ちになりました。

もちろんお嫁さんを責めたいわけではなく、きっと子育ての忙しい毎日の中で、彼女が選んだ最善の行動だったのだと思いますし、誰が悪いという話ではありません。

その後、編み手の彼女は、

「腹が立ったからメルカリに出したら、すぐ売れたのよ」

と話していたそうです。

だから、作品そのものは必要としている誰かの元へきちんと届いた。

ただお孫さんのことを想って、編んだ気持ちは赤ちゃんに届かなかった。

大きくなってから、
「この服はね、あなたが産まれた時におばあちゃんが編んでくれたのよ」
なんて会話も失われてしまった。

自分の誕生を家族が喜んで迎えてくれた、その証をその子は手にする事が出来なかった。

それが残念なのです。

子供の大切なものを奪う大人

前回のお話しでも書きましたが、子供にとって手作りのものは、誰かとの繋がりはもちろん、「自分は愛されているんだ、ここに居ていいんだ」という生きていく力になります。

どんなに下手でもダサくても関係ありません。
子供は全てを受入れ、そのものを愛してくれます。

いつだって大人と子供の大切なものは違って、
いつだって大人は子供から大切なものを取り上げてしまいます。

手作りの価値を伝える

こんな話、今の時代なら本当によくある事だと思います。

昔は、赤ちゃんが生まれると出産祝いに毛糸が贈られることも多かったそうです。
今ではそれがものになっても受け取ってもらえない時代。

コスパとかタイパとか、見た目とか・・・

でもそういう時代にしてきたのは私たちで、
そしてまた今も私たちは次の時代を作っている真っ只中にいます。

生きていく為に、快適に暮らす為にそれらをまず優先にしてきた。
でもこれからはそこに更に「幸せ・気持ち・本当の価値」を求めていく時代にもう入っています。

そんな時に、作り手の私たちが、

手作りがもたらす幸せ、そこに込めた気持ち、手作りの本当の価値

を知り、自信を持って伝えていく必要があるのではないかと思っています。

届かなかった想いが報われる為に、そしてこれからそんな悲しい事が自分に起こらない為に。

機械編み教室のご案内

私が編み機を教えているのは、編み機が好きだからというのはもちろんなのですが、手作りを広めたい、という気持ちが根底にあるからです。

自分で食べるものを自分で田や畑で作る様に、お洋服や小物も自分や自分に近いところで作るのが一番いいと思っています。
それが一番安心で安全で、あらゆる面で負担が少ない。

現代社会のスピードに調和しながら、手作りしていくのに編み機はとてもいい道具だと思っています。

時には手で、時には機械の手も借りて。


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