私がテキスタイルデザイナーとして働いていた、世界三大毛織物産地、尾州で今月末にイベントが開催されます。
イベント内容
色んな会社の工場見学やワークショップに参加したり、生地などの素材、製品の販売、羊を見たり、食べたり(!)、尾州産地の中へ堂々と入っていけるチャンスです!
ビジネスを考えている方、学生の方も、東京方面の方なら前夜祭や貸切新幹線も出るそうなので、そこでも羊関係者同士じっくり交流できる場になりそうです。
もちろん現地でも沢山話す機会はいたるところにあると思います。
ご興味ある方は是非!
工場見学して想うこと
かくいう私も2009年の京都での学生時代に、初めて尾州の勉強会に参加し工場見学を本格的にさせてもらいました。
京都も生地の産地ですが、こじんまりした着物の機屋さんが多く、尾州は全く違う雰囲気です。
大きな工場、大きな機械、働いてる人の多さに驚きました。
「布を作るためにこんなに沢山の工程と、人の手がかかってるんだ!!!」
というのがその時、私が一番驚いた事です。
それはどんな製品も同じだと思うのですが、実際に現場を見て、働いてる人の顔を見ると感動して、忘れないものです。
だから私は世の中の人みーんなに見て欲しい!と思ってます。
尾州カルチャーショック!
繊維が好きな訳じゃない?
私が尾州で一番を争う程の大きな会社に就職が決まり、働き始めた頃、カルチャーショック受けまくりでした。
まずはこんなデカい会社なのに、社員は皆地元の人だったということ。
一人暮らししながらでも尾州で働きたい!と言って働いてるのは私ともう一人の先輩だけ。
皆近所だから働いてる、という感じでした。
それにまずびっくり、そしてちょっとがっかりしました。
なんだ、繊維が好きで来てるんじゃなくて、なんでもいいんだ、と思ってしまいました。
でもそうじゃなかった、彼らは皆精鋭部隊だったのです。
DNA=繊維?
就職すると皆最初は工場で働きます、少しずつ色んな現場を数ヶ月〜1年かけて経験していきます。
そこで地元のおじちゃんおばちゃん、若者たちの話を聞いて仕事を目にするじゃないですか、それがすごいんですよ!
今はだいぶ廃れたものの、尾州の全盛期はガチャマンと言われ、織機が一回ガチャっと動けば、一万円儲かると言われるくらい、毛織物産業は儲かっていました。
いたるところに機屋が乱立し、朝から晩まで織機の音が響いていました。
染色、撚糸など関連する工場も沢山あり、もう、猫も杓子も繊維の仕事をしていました。
だから皆だいたい実家は繊維業。
産まれる前から機の音を聞き、幼き頃は母の背中じゃなくて、経糸の上にのせられ子守され、遊びといえば糸や糸管をおもちゃに遊び、家の懐事情から尾州の衰退をヒシヒシと肌で感じながら成長してきた人たち。
私は彼らをDNAが繊維で出来てると思ってます、好きとか嫌いじゃない、繊維で出来てる人たちなのです!
だからすごいんですよ技が、知識が、愛が。
機結びしてる手元が見えない、触っただけで、結び目できるのか!この人たちは!?と驚愕しました。
私がおばちゃんたちをすごいすごい!と褒めても、はぁ?そんなこと出来て当たり前でしょ?皆出来るでしょ?という感じです。
いやいやいや、あなた達みたいな人尾州の外に出たら他にはいませんよ!
と常々尊敬してました、皆子供の頃の実家ストーリーとか、繊維ネタ持ってて、それを聞くのがほんとに好きでした。
尾張弁が色濃く残る町
あとね、方言がすごい。アラレちゃんのニコちゃん大王が話す言葉は尾張弁なんですが、皆ニコちゃんと同じ喋り方。(作者の鳥山明は尾州出身)
特に年輩の方のほうがやっぱり方言が強く、さらに専門用語を交えて話すから、一人で出機さん(家庭内工業で機屋をやってるお家)のとこにお使いに行くと、よく???になって帰ってきました。
やっぱり地方で地元の人と仕事するなら、きちんと地元の言葉を使わないと、こちらのニュアンスも正確に伝わらないなとしみじみ思い、積極的に尾張弁を使った結果、今ではすっかり私もニコちゃんです。
そんな尾州の人たちに会いに是非遊びに来て下さいね~
その尾州で私は約10年働いていました。半分織物、半分編物のテキスタイルデザイナーとして、両方の世界を見てきました。元々手芸も好きだったので、工業的な見方も手工芸品も両方触れてきました。
そんな私が見る繊維の世界も、無料メルマガで随時ご案内しております~